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RRSとは

RRS(Rapid Response System)

RRSとは

  • 多くの「急変」には前兆があるRRS=Rapid Response System(院内迅速対応システム)とは、多くの「急変」には前兆があるという点に着目した院内対応システムです。RRSでは早期認識と早期介入が重要です。
  • RRSの4要素RRSは4つの要素から成ります。
    RRS解説(IHECJ)」のファイル(パワーポイント)はこちらのリンクから無料でダウンロードできますので、各施設での啓発活動に役立ててください。

院内心停止(IHCA)とRRS

グラフ
Lancet.2012;380:1473-81より

IHCA=In-Hospital Cardiac Arrest(院内心停止)
病院内だろうと、心停止に陥ってからの介入では予後が不良であることがわかっています。
前兆を捉え、システムで対応しましょう。
RRSの効果は院内心停止の減少で測られます。

用語集

RRSに関わる用語の日本語訳と定義が本委員会により2017年になされました。

システムに関する用語

  • 用語
    Rapid Response System (RRS)
  • 日本語訳
    院内迅速対応システム
  • 定義
    患者に対する重篤有害事象(別表を参照)を軽減することを目的とし、迅速な対応を要するバイタルサインの重大な増悪を含む急激な病態変化を覚知して対応するために策定された介入手段。以下の4つの要素から構成されたシステム全体を指す。
  • 用語
    Afferent limb / component
  • 日本語訳
    起動要素(求心路)
  • 定義
    病棟スタッフが患者の状態悪化を認識し、あらかじめ定められた起動基準に従って対応チームを起動すること。
  • 用語
    Efferent limb / component
  • 日本語訳
    対応要素(遠心路)
  • 定義
    病棟からの起動に応じて迅速に(15分以内が望ましい)現場に急行し、患者の評価と初期対応を行うこと。重篤な患者の安定化と管理に必要なスキルを備えたスタッフと、必要な資機材から成る。チーム構成によりMET、RRT、CCOTに大別される。
  • 用語
    Patient safety / process improvement limb / component
  • 日本語訳
    システム改善要素
  • 定義
    発生した事案をデータ集積し、将来同様の事案を回避できるよう、管理・ケアの改善に役立つようフィードバックすること
  • 用語
    Governance / administrative structure limb / component
  • 日本語訳
    指揮調整要素
  • 定義
    RRSを計画、導入し、維持運営する母体組織。スタッフへの教育や対応チーム構成の選任、資機材の整備などを司る。

対応チームに関する用語

  • 用語
    Medical Emergency Team
  • 日本語訳
    MET
  • 定義
    医師を1名以上含み、気管挿管などの二次救命処置をベッドサイドで開始できる能力を備えた対応チーム。
  • 用語
    Rapid Response Team
  • 日本語訳
    RRT
  • 定義
    医師を必ずしも含まず、起動された患者を評価し基本的な初期対応を行った上で、必要に応じて患者の院内トリアージや医師の緊急招請を行うチーム。
  • 用語
    Critical Care Outreach Team
  • 日本語訳
    CCOT
  • 定義
    集中ケアの訓練を受けた看護師らが主体となって、ICU退室患者と何らかの懸念のある入院患者を定期的に訪床して回り、起動基準に抵触する患者を早期発見することを目指した対応チーム。

アウトカムに関する用語

  • 用語
    Unexpected cardiac arrest
  • 日本語訳
    予期せぬ心停止(事前DNARなし)
  • 定義
    ICU外に入院中に、DNARが合意されていない、ないしは記載されていない患者で起こった心停止。
  • 用語
    Unexpected death
  • 日本語訳
    予期せぬ死亡(事前DNARなし)
  • 定義
    ICU外に入院中に、DNARが合意されていない、ないしは記載されていない患者で起こった死亡。
  • 用語
    Unexpected ICU admission
  • 日本語訳
    ICU予定外入室
  • 定義
    ICU外に入院中の患者の、予定外でのICU入室。
  • 用語
    Serious adverse event (SAE)
  • 日本語訳
    重篤有害事象
  • 定義
    予期せぬ心停止、予期せぬ死亡、およびICU予定外入室。

参考文献

  • 文献
    Jones DA, DeVita MA, Bellomo R. Rapid-response teams. N Engl J Med. 2011;365(2):139-146.
    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21751906
  • 説明
    RRSを包括的に解説した最も有名な総説です。筆者はRRSの世界的な推進者の一人であり、多くの論文を執筆しています。
  • 文献
    Devita M a, Bellomo R, Hillman K, et al. Findings of the first consensus conference on medical emergency teams. Crit Care Med. 2006;34(9):2463-2478.
    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16878033
  • 説明
    RRSの用語や定義に関して初めて開催された国際会議の記録です。現在もここでの用語や定義が広く利用されています。
  • 文献
    Hillman K, Chen J, Cretikos M, et al. Introduction of the medical emergency team (MET) system: a cluster-randomised controlled trial. Lancet. 2005;365(9477):2091-2097.
    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15964445
  • 説明
    RRSに関する唯一の無作為クラスラー割付による多施設比較研究です。23施設がRRS導入群と従来通りの急変対応群に割り付けられ、重篤有害事象の発生率が検討されました。残念ながら、この研究では両群間に有意差は見られませんでした。RRS導入群でも起動の遅い施設があった一方で、従来通りの急変対応群の中にも心停止に陥る前に”Code Blue”が起動される施設があったことが原因と後に分析されています。
  • 文献
    Cretikos M, Parr M, Hillman K, et al. Guidelines for the uniform reporting of data for Medical Emergency Teams. Resuscitation. 2006;68(1):11-25.
    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16153768
  • 説明
    RRSの4要素の一つである「システム改善要素」の核となるデータベースの構築に関して例示しています。
  • 文献
    Peberdy MA, Cretikos M, Abella BS, et al. Recommended guidelines for monitoring, reporting, and conducting research on medical emergency team, outreach, and rapid response systems: an Utstein-style scientific statement. A Scientific Statement from the International Liaison Committee on Resuscitat. Resuscitation. 2007;75(3):412-433.
    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17993369
  • 説明
    RRSの臨床研究を推進するために、院外心停止でも使用さているウツタイン方式の記録の利用を提唱しています。また、研究で見るべきアウトカムとしての有害事象についても検討されています。
  • 文献
    DeVita M a, Smith GB, Adam SK, et al. “Identifying the hospitalised patient in crisis”–a consensus conference on the afferent limb of rapid response systems. Resuscitation. 2010;81(4):375-382.
    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20149516
  • 説明
    RRSのシステムの成否を担う鍵とも言われる「起動要素」に関して開催された国際会議の記録です。バイタルサインからモニタリングまで、患者の観察について深い洞察が得られること請け合いです。
  • 文献
    Jones D, Lippert A, DeVita M, Hillman K. What’s new with rapid response systems? Intensive Care Med. 2014;41(2):315-317.
    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25427867
  • 説明
    上記のNEJMの総説の筆者が、RRSのより新しい知見を取り上げています。
  • 文献
    Maharaj R, Raffaele I, Wendon J. Rapid response systems: a systematic review and meta-analysis. Crit Care. 2015;19:254.
    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26070457
  • 説明
    RRSが成人、小児を問わず、入院患者の病院死亡率や心停止発生率を減少させることを初めて証明したメタアナリシスです。
  • 文献
    Institute for Healthcare Improvement. 5 Million Lives Campaign.
    http://www.ihi.org/Engage/Initiatives/Completed/5MillionLivesCampaign/Pages/default.aspx
    Accessed on September 26th, 2016.
  • 説明
    米国の医療安全管理団体による医療事故防止キャンペーン100,000 Lives Campaignの一環としてRRS導入が推進されてきました。現在はより包括的な取り組みとして5 Million Lives Campaignとして受け継がれています。
  • 文献
    National Institute for Health and Care Excellence. (NICE)
    Acutely ill adults in hospital: recognising and responding to deterioration.
    https://www.nice.org.uk/guidance/cg50
    Accessed on September 26th, 2016.
  • 説明
    英国の健康省によるガイドラインにもRRSの導入が収載されています。
  • 文献
    医療安全全国共同行動.
    http://kyodokodo.jp/10mokuhyou/1452-2/
    Accessed on September 26th, 2016.
  • 説明
    日本の多くの学会・団体が関与する医療安全管理キャンペーンです。「行動目標6:急変時の迅速対応」にRRSの確立が謳われています。

一般社団法人 日本蘇生協議会. JRC 蘇生ガイドライン. 東京: 医学書院; 2015

DNARオーダーとRRS

DNAR(do not attempt resuscitation)の定義は患者本人または患者の利益にかかわる代理者の意思決定をうけて心肺蘇生法をおこなわないことです。
ただし,患者ないし代理者へのinformed consentと社会的な患者の医療拒否権の保障が前提となります。欧米では実施のためのガイドラインも公表されています。
1995年日本救急医学会救命救急法検討委員会から「DNRとは尊厳死の概念に相通じるもので,癌の末期,老衰,救命の可能性がない患者などで,本人または家族の希望で心肺蘇生法(CPR)をおこなわないこと」,「これに基づいて医師が指示する場合をDNR指示(do not resuscitation order)という」との定義が示されています。

しかし,わが国の実情はいまだ患者の医療拒否権について明確な社会合意が形成されたとはいい難く,またDNR実施のガイドラインも公的な発表はなされていません。
なおAHA Guideline 2000では,DNRが蘇生する可能性が高いのに蘇生治療は施行しないとの印象を持たれ易いとの考えから,attemptを加え,蘇生に成功することがそう多くない中で蘇生のための処置を試みない用語としてDNAR(do not attempt resuscitation)が使用されています。

院内での心停止例の場合、DNAR例であるかどうかは、医療スタッフにおいて必要不可欠な情報です。
院内急変時に、DNARの確認を即座に行う工夫により、CPRを含むRRSの初動が円滑化されると考えています。(ある施設の取り組み

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日本院内救急検討委員会